各地で梅雨入の声が聞こえ、東京もだいぶ湿度の高い日々が続いております。 そんな中、お客様からご依頼いただいた印刷物でレアケースの問題発生! 今回はちょっと専門的な観点のコラムです。 デザインと印刷の間には、た~まに大きな壁が出現します。 デザインは基本的にPC上で行いますが、データ的には「カッコイイ!」となっても、その通りに印刷できるとは限りません。 その代表例の1つが「リッチブラック」と呼ばれる色です。 印刷のインクはC(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(クロム)の4色掛け合わせによって表現され、いわゆる「黒」は基本的にはクロム100%で表現をします。 ところが、私たちがPC上で見る画像はR(レッド)・G(グリーン)・B(ブルー)の光の三原色で校正されています。 このRGBカラーをCMYKカラーに変換した際、「リッチブラック」という罠が発生する場合があります。 読んで字のごとく、「豊かな黒」というわけですね。黒よりも黒いのです。 何が問題かというと、4色インクをたくさん使うため、物理的に「濃すぎる」という事態になり、裏写りやにじみ、紙の張り付き、そして最悪なケースだと破れてしまう原因になります。 単純に「モノクロ」と言う場合でも、赤っぽい黒、青っぽい黒などがあるのは黒を作るための色の配分が均等ではないことに依存します。 PC上での確認などでは極めて美しい陰影が表現できても、いざ印刷仕様とした場合、インク過多によって紙がダメになってしまうんですね。 そのため、印刷業界ではCMYKのインク総量を300%以下にするというのが印刷可能データの基本仕様となります。 もちろん、お金で解決できる場合もありますが、当然ながら一般的な印刷に比べてびっくりするような金額になってしまいます。 過去には大手自動車会社のデザイナーさんすらぶちあたって大騒ぎになったという話もあり、「カッコイイデザイン」と「物理的に表現できる限界」というのはなかなか難しい問題です。 チラシを作られる際、デザイナーさんからとてもカッコイイデザイン案が上がってきて採用となっても、こういう壁が発生することがありますので、データ入校をする日には必ず修正対応可能なようにスタンバイしていただくのがよいかと思います。 修正といっても、トップクラスのデザイナーさんでもひっかかる罠なので決して恥ずかしくはありません。 こればかりは印刷技術が物理的に追いついていない領域なのですから。 早く印刷技術が進化して、デザイナーさんの表現力に追いついて欲しいですね! ただし、そうした技術的問題も踏まえてデザインをするのが、お金を頂く「プロ」のデザイナーだと言われてしまうとグゥの音も出ないんですけどね。 物理的な壁が発生したら、あの手この手でぶち破っていきましょう! ご依頼主さんもそうしたデザインと印刷の壁をちょっと気にして頂けると、よりよいビジネスになるかと思います。 「カッコイイ」けど「印刷不能」なことがある。 たま~に思い出してみて下さい! ポスネットでは、お預かりしたデータでこのような壁が発生した場合、「ポスネットで修正(程度によって料金発生)」または「デザイナーさんへの修正方法ご説明(無料)」もしっかりとやらせていただきます。 発注ご担当者様に見えない壁でも、きちんとクリアするお手伝いをさせていただきますのでぜひご利用下さい!